キャリアコンサルタントの資格取得を検討する際、「実際にどのくらいの収入が得られるのか?」は最も気になるポイントの一つでしょう。キャリアコンサルタントは2016年に国家資格化され、有効登録者数は87,410人です(2026年7月末、キャリアコンサルタント登録センター)。年間の受験者数は約15,000〜20,000人で推移しています。
この記事では、厚生労働省の公式データを中心に、キャリアコンサルタントの年収・収入のリアルな実態を解説します。受験資格の詳細はこちらもあわせてご確認ください。
キャリアコンサルタントの平均年収
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag(日本版O-NET)」では、キャリアカウンセラーの求人統計データが公開されています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 就業者の平均年収(賃金構造基本統計調査) | 583.3万円 |
| ハローワーク求人の求人賃金(月額) | 24.8万円 |
| ハローワーク求人の有効求人倍率 | 0.15 |
| 全国の平均給与(参考) | 478万円 |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」の職業「カウンセラー(医療・福祉施設を除く)」(年収は令和7年賃金構造基本統計調査を加工、求人賃金と有効求人倍率は令和6年度のハローワーク求人統計)/国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(令和7年9月公表)
就業者の平均年収583.3万円は、全国の平均給与478万円と比べれば高い部類に入ります。ただしこれはすでにその職に就いている人の賃金統計であって、求人票に出ている条件ではありません。
同じjob tagの中に、ハローワーク求人の数字が別枠で載っています。求人賃金は月額24.8万円です。賞与を含まないため単純な年換算はできませんが、583.3万円という水準からはかなり離れます。この2つを混同すると、求人を探し始めた時点で見込みが大きく外れます。
もうひとつ見ておきたいのが有効求人倍率0.15です。求職者1人に対して求人が0.15件しかないという意味で、職を選ばなければ入れる職種ではありません。資格を取ること自体と、その職で働き口を得ることは別の問題だと考えたほうが実態に近いでしょう。ただしこれはハローワーク経由の求人に限った数字で、企業の直接採用や人材紹介経由の求人は含まれていません。
雇用形態別の年収
キャリアコンサルタントの年収は、働き方によって大きく異なります。主な雇用形態別の目安は以下の通りです。
| 雇用形態 | 年収レンジの目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 企業の人事部門(正社員) | 400万〜700万円 | 安定した収入。企業規模で差あり |
| 人材紹介会社 | 400万〜800万円 | 成果報酬で上振れの可能性 |
| ハローワーク等の公的機関 | 300万〜450万円 | 非正規雇用が多い。契約更新制 |
| 大学キャリアセンター | 300万〜500万円 | 常勤・非常勤で差あり |
| 独立・フリーランス | 200万〜1,000万円超 | 実績と営業力により大きく変動 |
※求人情報等から算出した概算値です。実際の給与は企業・地域・経験により異なります。
注目すべきは、ハローワークや公的機関での勤務は非正規雇用(嘱託・契約社員)が多い傾向にあるという点です。厚生労働省のキャリアコンサルタント登録制度に関する調査でも、資格保持者の働き方は多様であることが報告されています。
経験年数別の年収推移
キャリアコンサルタントの年収は、経験年数や保有するスキル・実績によって段階的に上昇する傾向があります。
| 経験 | 年収の目安 | ステージ |
|---|---|---|
| 未経験〜3年 | 300万〜400万円 | 資格取得直後。実務経験の蓄積期間 |
| 3〜5年 | 400万〜550万円 | 専門分野の確立。相談実績の積み上げ |
| 5〜10年 | 500万〜700万円 | 管理職・チームリーダー。企業研修担当 |
| 10年以上 | 600万〜800万円超 | 専門家として確立。独立・顧問も視野 |
※業界の一般的な傾向であり、個人の状況により大きく異なります。
副業・独立の収入事情
キャリアコンサルタントは、本業とは別に副業として活動することも可能な資格です。副業の主な形態と収入の目安は以下の通りです。
副業での活動例
- 個人向けキャリア相談: 1回(60分程度)あたり数千円〜が相場。オンライン対応も可能
- セミナー・研修講師: 1回あたり数万円〜。企業研修は単価が高い傾向
- 大学キャリアセンター非常勤: 時給制で勤務。週1〜2日から可能な場合も
- 執筆・コンテンツ制作: キャリア関連の記事執筆、教材制作など
独立開業の場合
独立してキャリアコンサルティング事務所を開業する場合、収入は営業力と専門性に大きく左右されます。法人向けコンサルティング(従業員のキャリア開発支援、組織開発など)を手がけられると、単価が上がる傾向にあります。副業・フリーランスの始め方と収入の詳細も参考にしてください。
養成講座の費用対効果
年収の観点から養成講座の費用対効果を考えてみましょう。養成講座の費用は、厚生労働省の講習検索サイトに掲載されている23講習の実測で19.8万〜43.8万円(中央値32.2万円)です。教育訓練給付金の対象講座で受給要件を満たせば50%が支給され、負担は半分になります。
資格取得後に年収が数十万円上がるケースや、副業で月数万円の収入が得られるようになれば、投資回収は十分に現実的です。ただし「資格を取れば自動的に年収が上がる」わけではなく、活用の仕方が重要です。
年収を上げるためのポイント
キャリアコンサルタントとして年収を上げるためには、以下のようなポイントが重要です。
- 専門分野を確立する: 若年層支援、中高年の転職支援、障害者雇用支援など、特定の分野に強みを持つ
- 上位資格を取得する: キャリアコンサルティング技能士(2級・1級)の取得で専門性を証明。キャリアコンサルタントの資格制度全体も参考に
- 関連資格と掛け合わせる: 社会保険労務士、産業カウンセラー、メンタルヘルスマネジメント等との組み合わせ
- 企業内でのポジションを確立する: 人事部門のマネジメントポジションを目指す
- 法人向けサービスを展開する: 企業研修やコンサルティングは個人向けより高単価